冷ややかな熱さ


後編


くちゅり。

卑猥な音が天国の耳に大きく響く。


「い…やだ…っ…。
 は…なせ…!!」


「諦めが悪いね。
 高校球児としては得がたい資質だよ。」

くすくすと楽しそうに微笑みながら白雪は事を進めていく。


既に天国のTシャツはほとんどたくし上げられ、胸元をさらけ出し。
下肢の衣服はすべて剥ぎ取られていた。

しかし首筋に差し込まれた日本刀は、まだそのまま天国の首元を狙うよう光っていた。

その日本刀は天国の動きを全て封じるのに十分な役割を果たしていた。


白雪は笑みを絶やさず、天国自身を弄んでいた。


くち。

「あ…ぅっ…!」
「ここ、一番感じるんだね。」

白雪は感度の良好な、亀頭部分を何度も何度も指の腹でこすりつける。
時には爪をもたてるその手つきに、天国は何度も先走りを滴らせた。

「あ!ぃや…だっ…そこ…ばっかり…んぅ…っ。」

首筋の日本刀のために身動きがほとんど取れないのに。
身体はどんどん熱く翻弄されていく。

天国は自分が痴態をさらすという屈辱と、日本刀と、そして白雪の狂気への恐怖で涙浮かべる。

「おや、泣き虫さんなんだ…君は。」
その涙に更に煽られ。
白雪は先走りに濡れた指を早急に天国の窪に軽く差し込んだ。


「ひ…っ!!」
「思ったよりやわらかいねえ。誰かにお仕置きされたことがあるのかな?」
くりくり、とわずかに入れた指先を動かし、白雪は天国の身体を苛む。

「あっあっ…そ、んな…そんなとこ…っ…ぅ…。」
「本当に素敵だね、猿野クン。
 思ったよりもずっと可愛らしく艶めかしい。」

ずぷっ


「あー…!!」

突然、後腔に触れていた指が深く挿入される。
初めて感じる痛みに、天国は日本刀の存在も忘れ身体を反り上がらせる。


「…ダメじゃないか、猿野クン。そんなに動いちゃ。
 ああ…首に少し傷がついてしまったね。」

白雪はそういって天国の首筋にできた傷を舐めた。

ピリ、とかすかな痛みが走る。
「ん…!!」
その痛みは天国を一瞬正気から戻した。
だが。

「さあ、今度からは気をつけて…。
 入れるからね?」

「え?」


さらりと白雪が言った言葉に、天国は眼を見開く。
動き始めたはずの意識がまた硬直する。


入れるって?

何を…。


疑問を口にするまもなく。
後腔に熱くたぎったモノが当てられる。


「!嫌だ…!!」
「ダメ。」


ズッ


「あぁああああーーーーーーっ!!」



##########


「白雪監督?すんません、寝てますKa?」

「ああ、その声は…十二支の虎鉄くん、だったかな?」

「Haい、夜分恐れ入りますけど…うちの猿野、見ませんでしたKa?」

「猿野くん?いや…知らないけど。こんな夜更けにいないのかい?」

「え?!あ、いやいないっつーKa、トイレ行ったんだと思いますかRa!!」

すんませんでしTa!と襖のむこうの声は去っていった。

部屋では、あわただしく去っていった少年への苦笑と。

「ぅ…っ…あっぁ…っ、も、いや…ぁ…。」
濡れた声が抑えられるよう響いていた。

「君のセンパイは本当に面倒見がいいようだね。
 随分と心配しているようだよ。
 愛されてる…ね?」

白雪の声は冷ややかで。
どこか気分を害したような、そんな声色が含まれていた。

勿論天国にはそんなことを考える余裕はない。

「あ、あ…、んっ、もう…ぬい、て…く……ぁあぅっ!」

天国の中に挿しいれられた白雪自身は何度も何度も天国の身体を追い詰める。
何度イかされても、何度彼自身がイっても白雪は彼から出ようとはしない。

更に白雪は、短時間で天国の弱い場所を知り尽くしてしまったかのようにポイントをついてくる。
天国は自分の体が自分のものではないような錯覚にすら陥っていた。


(…んで、こんなに、きもち…い、んだ……よ…。)
既に呆けたようになっている彼の思考には快感が絶えず押し寄せてくる。


白雪はそんな天国をいとおしげに見つめた。


「…あいしてる、よ…?」


「あーーーーーーー・・・っ…。」


一際大きく、高く天国の声が響いたあと。
天国の意識は完全に途切れた。



############

白雪は天国の後始末を終えると、首筋についた天国の傷にそっと触れた。

「この傷は…証拠だね。」

白雪はくす、と笑う。
こんな気持ちはいつ以来だろうか。
いや、感じたことなんてなかったのかもしれない。

愛しくて愛しくて…狂うほどに熱く…想いを叩きつけてしまうほどに。
そっと抱きしめて、それだけではすまない思い。

奪って無理矢理に痕を残して、そして…。


「永遠、なんて信じてないけど…君はずっと僕のものだよ…?」

理不尽なんて思わない。
思う余裕もないほどに熱く。
そして思いやる余裕のないほど冷酷に。


生まれた想いは全て君に。


誰でもない、君のせいだから。


「君のせいだから…ね?」


白雪は 熱が冷めて少し冷えた唇に ちいさく口付けた。


冷ややかな熱は 君を見た時に生まれ 燻って 君を燃やし尽くすまで 止まらない。

止まらないんだ。




END


あいも変わらずHっぽくない裏文章でした…。
白雪監督…牛尾くんに似てるなあ…。

まあ私はあまり時間が空かずにUPできたのでほっとしてます。
こんな物足りない文ですみませんでした!!



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